第60回理学療法士国家試験 午後1~50

【1】80歳の女性.右変形性股関節症に対し人工関節全置換術を施行.1週間が経過し,歩行器での移動が可能となった.本症例にDanielsらの徒手筋力テストに基づき,左中殿筋の段階4の評価を行う.適切な測定はどれか. 
1.側臥位を計測姿勢とする.
2.右側の股関節は屈曲させる.
3.骨盤が回旋しないように固定する.
4.左下肢は外旋位とする.
5.最大の抵抗を足関節から加え,姿勢を保持できる.

解答

1.× 右人工関節全置換術後1週間であるため側臥位での計測は避ける.
2.× 右側の股関節は伸展位で測定する.
3.○ 正しい.
4.× 左下肢は内外旋中間位とする.
5.× 膝部で加えられる最大の抵抗に対抗して,姿勢を保持できる.


【2】次の文により,2,3の問いに答えよ.6歳の男児.右股関節痛を訴えている.単純エックス線写真を示す.疑うべき疾患はどれか. 

1.Perthes病
2.大腿骨頭壊死症
3.大腿骨頭すべり症
4.単純性股関節炎
5.発育性股関節形成不全

解答

1.○ 正しい.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 骨端の圧潰,扁平化,分節化,関節裂隙の開大がみとめられるため,Perthes病である.


【3】次の文により,2,3の問いに答えよ.6歳の男児.右股関節痛を訴えている.単純エックス線写真を示す.この時期の理学療法で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.右股関節の内転位保持
2.短下肢装具での立位練習
3.対象的な座位バランス練習
4.右側方からの起き上がり動作指導
5.坐骨結節で負荷できる下肢装具での歩行練習

解答

1.× 右股関節の外転・内旋位を保持する.
2.× 坐骨結節で負荷できる下肢装具での立位練習を行う.
3.○ 正しい.
4.× 左側方からの起き上がり動作指導を行う.
5.○ 正しい.


【4】70歳の女性.急性心筋梗塞で入院した.身長160cm.体重70kg.安静時心拍数70/分.安静時血圧130/70mmHg.心臓超音波検査にて低左心機能(LVEF<40%)が指摘されている.Karvonen法(k=0.5)を用いて計算した全身持久力運動の目標心拍数で正しいのはどれか. 
1.90/分
2.100/分
3.110/分
4.120/分
5.130/分

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ (220-70)-70/分×0.5+70/分=110/分
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【5】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準1995年)に従って図のように背臥位で右股関節の可動域を測定する.正しいのはどれか. 

1.運動方向は内旋である.
2.参考可動域は45度である.
3.股関節が外旋しないようにする.
4.基本軸は両側の上前腸骨棘を結ぶ直線である.
5.移動軸は上前腸骨棘と第二中足骨長軸を結ぶ線である.

解答

1.× 運動方向は股関節内転である.
2.× 股関節内転の参考可動域は20度である.
3.○ 正しい.
4.× 股関節内転の基本軸は両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線である.
5.× 股関節内転の移動軸は上前腸骨棘より膝蓋骨中心を結ぶ線である.


【6】5歳の男児.脳性麻痺による痙直型四肢麻痺である.背臥位で図のような姿勢を示す.影響しているのはどれか. 

1.Moro反射
2.陽性支持反射
3.緊張性迷路反射
4.対称性緊張性頸反射
5.非対称性緊張性頸反射

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 顔を向けた側の上下肢が伸展,後頭側の上下肢が屈曲しており,非対称性緊張性頸反射が影響している.


【7】30歳の男性.右腱板損傷の修復術後6か月.図に示す方法で等張性筋力増強運動を行っている.このトレーニングで対象となる筋はどれか. 

1.烏口腕筋
2.棘下筋
3.小胸筋
4.前鋸筋
5.大胸筋

解答

1.× 烏口腕筋は肩関節屈曲・内転・水平屈曲に作用する.
2.○ 正しい.
3.× 小胸筋は肩甲骨下制・外転・下方回旋に作用する.
4.× 前鋸筋は肩甲骨外転・上方回旋に作用する.
5.× 大胸筋は肩関節屈曲・内転・内旋・水平屈曲に作用する.


【8】32歳の男性.交通事項で4週前に右大腿骨を図のように遠位部で切断した.今後,大腿義足を作製する.切断側の身体計測で正しいのはどれか.2つ選べ. 

1.測定肢位は背臥位とする.
2.断端最小前後径は大転子レベルで計測する.
3.大腿長は坐骨結節から断端末までの距離である.
4.大腿長は断端末の軟部組織を押し上げて計測する.
5.切断肢側の力源となる実質的な長さを確認するために機能的断端長を測定する.

解答

1.× 切断側の身体計測の測定肢位は立位とする.
2.× 断端最小前後径は最も細い部分で計測する.
3.○ 正しい.
4.× 大腿長は断端末の軟部組織を押し上げず,そのままの状態で計測する.
5.○ 正しい.


【9】20歳の男性.1か月前に転倒し,疼痛は軽減したが右膝関節の不安定感があり来院した.実施した検査を図に示す.この検査の対象はどれか.ただし,矢印は検査者が力を加えた方向を示す. 

1.前十字靭帯
2.後十字靭帯
3.内側側副靭帯
4.外側側副靭帯
5.内側半月板

解答

1.× 誤り.
2.○ 後方引き出しテストは後十字靱帯損傷で陽性となる.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【10】70歳の男性.食道癌術後に集中治療室に入室中.積極的に離床を行ってもよいのはどの場合か. 
1.RASS-3である.
2.疼痛がNRS8である.
3.心拍数120/分である.
4.平均動脈圧80mmHgである.
5.SOFA〈Sequential Organ Failure Assessment〉scoreが前日よりも4点増加している.

解答

1.× RASSは鎮静レベルの評価法で-3以下または2以上で離床および運動療法を中止する.
2.× 疼痛がNRS8の場合,離床および運動療法を中止する.
3.× 心拍数110/分以上で離床および運動療法を中止する.
4.○ 正しい.
5.× SOFA〈Sequential Organ Failure Assessment〉scoreは2点以上の急上昇により,敗血症と診断する.


【11】70歳の男性.Parkinson病.Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢ.歩行時にたびたびすくみ足や小刻み歩行からの突進を生じる.この患者の歩行練習で適切なのはどれか. 
1.直線上を継ぎ足歩行する.
2.できるだけ歩行速度を上げる.
3.簡単な計算をしながら歩行する.
4.等間隔の線を踏みながら歩行する.
5.足首に重錘バンドをつけて歩行する.

解答

1.× 直線上を継ぎ足で歩くのは難易度が高く,また,小刻み歩行やすくみ足の改善にも適さない.
2.× できるだけ歩行速度を上げると小刻み歩行を誘発するため適切でない.
3.× 簡単な計算をしながら歩行すると小刻み歩行を誘発するため適切でない.
4.○ 正しい.
5.× 足首に重錘バンドをつけて歩行するのは失調症に対する歩行指導である.


【12】58歳の男性.胸髄の脊髄腫瘍摘出術後,両下肢に明らかな運動麻痺,表在感覚障害はないが,深部感覚に重度鈍麻がみられた.開眼すると立位保持可能だが,閉眼するとふらついて倒れそうになる.また,歩行時にもふらつきがあり,踵打歩行が認められる.運動療法で適切なのはどれか. 
1.Buerger体操
2.Codman体操
3.Frenkel体操
4.Klapp体操
5.Williams体操

解答

1.× Buerger体操は慢性閉塞性動脈疾患に適応となる.
2.× Codman体操は肩関節周囲炎に適応となる.
3.○ 正しい.
4.× Klapp体操は側弯症に適応となる.
5.× Williams体操は腰痛症に適応となる.


【13】15歳の女子.検診で体幹前屈による肋骨の突出を認め受診した.レントゲン検査で胸椎に30度のCobb角を認めた.処方された体幹装具を図に示す.この装具の名称はどれか. 

1.Halo装具
2.Jewett装具
3.Milwaukee装具
4.SOMI装具
5.Taylor型装具

解答

1.× Halo装具は頸胸椎装具である.
2.× Jewett装具は胸腰仙椎装具である.
3.○ 正しい.
4.× SOMI装具は頸胸椎装具である.
5.× Taylor型装具は胸腰仙椎装具である.


【14】75歳の男性.間質性肺疾患で入院中.安静時も頻呼吸で,頸部の呼吸補助筋活動が亢進し,吸気時の胸骨上切痕および鎖骨上窩の陥凹を認める.この患者に対する理学療法で最も適切なのはどれか. 
1.気道の吸引を行う.
2.上肢の筋力増強運動を行う.
3.腹部引き込み動作の練習を行う.
4.徒手的な胸郭可動域の拡大運動を行う.
5.負荷を加えて吸気筋トレーニングを行う.

解答

1.× 間質性肺疾患は乾性咳嗽であり,痰はみられないため,気道の吸引は適応とならない.
2.× 頸部の呼吸補助筋活動が亢進しているため,上肢の筋力増強運動は避ける.
3.× 腹部引き込み動作は横隔膜を使った換気を促す目的だが,頻呼吸・補助筋依存の状態で,腹式呼吸は困難である.
4.○ 正しい.
5.× 安静時も頻呼吸であるため,負荷を加えずに吸気筋トレーニングを行う.


【15】25歳の女性.1か月ほど前から熱いラーメンを吹いて冷ましていると右の手足に力が入らなくなる症状が数分続くことがあったが,その後回復したため様子を見ていた.数日前にも同様の症状があり,心配になり病院を受診した.既往歴に特記すべきことはない.脳血管造影検査の正面像および側面像を示す.この疾患で疑う疾患はどれか. 

1.脳炎
2.脳腫瘍
3.もやもや病
4.硬膜動静脈瘻
5.アテローム性脳梗塞

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 熱いものを吹き冷ました後の右手足の脱力,脳血管造影検査で左の内頸動脈終末部,前・中大脳動脈近位部の狭窄・閉塞ともやもや血管が認められることからもやもや病を疑う.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【16】75歳の男性.糖尿病性腎症のため維持血液透析中.この患者の運動耐容能を評価する検査はどれか. 
1.CAVI
2.HOMA-R
3.HRV〈Heart Rate Viability〉
4.足関節上腕血圧比〈ABI〉
5.心肺運動負荷試験〈CPX〉

解答

1.× CAVI〈Cardio-Ankle Vascular Index〉は動脈の硬さを評価する指標である.
2.× HOMA-Rは糖尿病患者のインスリン抵抗性の評価である.
3.× HRV〈Heart Rate Viability:心拍変動〉は交感神経活動性を評価する指標である.
4.× 足関節上腕血圧比〈ABI〉は下肢動脈狭窄・閉塞を評価する指標である.
5.○ 正しい.


【17】介護予防事業におけるスクリーニングテストを図に示す.このテストで確認可能なのはどれか. 

1.サルコペニア
2.ダイナペニア
3.ポストポリオ症候群
4.メタボリックシンドローム
5.ロコモティブシンドローム

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 2ステップテストはロコモティブシンドロームの評価法である.


【18】77歳の女性.自宅で転倒し救急車で搬入.右大腿骨頸部骨折に対し,人工骨頭置換術が施行された.術後の右股関節は背臥位で外旋位を呈していた.翌日に患者が右足の筋力低下を訴えたため,MMTを評価したところ右足関節背屈筋0であった.右足関節背屈筋力低下に対する物理療法で適切なのはどれか. 
1.温熱療法
2.赤外線療法
3.体外衝撃波療法
4.超音波療法
5.電気刺激療法

解答

1.× 温熱療法は右足関節背屈筋力低下に対し効果がない.
2.× 赤外線療法は右足関節背屈筋力低下に対し効果がない.
3.× 体外衝撃波療法は右足関節背屈筋力低下に対し効果がない.
4.× 超音波療法は右足関節背屈筋力低下に対し効果がない.
5.○ 正しい.


【19】62歳の男性.転倒し前額部を強打し,脊髄損傷と診断された.受傷後3日目のkey muscleのMMTは両側三角筋4,肘屈筋5,肘伸筋2,手関節背屈筋3,中指末節屈筋0,小指外転筋0,下肢筋0.両側乳頭部以下の触覚と痛覚は脱失.肛門の随意収縮と感覚は保たれたいた.この患者のASIA機能障害尺度[ASIA Impairment Scale(AIS)]はどれか. 
1.A
2.B
3.C
4.D
5.E

解答

1.× 誤り.
2.○ B:運動喪失・知覚残存(S4~5,肛門)
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【20】75歳の男性.体重75kg.慢性心不全.運動療法中の心電図を示す.Aは運動開始前,Bは自転車エルゴメーター30W負荷の運動療法中である.正しいのはどれか. 

1.Aでは陰性T波を認める.
2.Aの心拍数は60/分未満である.
3.AはLown分類Ⅲである.
4.BではSTの低下を認める.
5.Bの心拍数は120/分以上である.

解答

1.× Aでは陰性T波はみられない.
2.× Aの心拍数はおおよそ75/分である.
3.× Aで心室期外収縮はみられない.
4.○ 正しい.
5.× Bの心拍数は120/分未満である.


【21】CBRマトリクスに含まれる項目はどれか.2つ選べ. 
1.教育
2.人生の質
3.バリアフリー
4.エンパワメント
5.ユニバーサルデザイン

解答

1.○ 正しい.
2.× CBRマトリクスの5つの主要領域は保健,教育,生計,社会,エンパワメントである.
3.× CBRマトリクスの5つの主要領域は保健,教育,生計,社会,エンパワメントである.
4.○ 正しい.
5.× CBRマトリクスの5つの主要領域は保健,教育,生計,社会,エンパワメントである.


【22】要介護者を対象としたケアプラン第1表に記載される項目はどれか. 
1.総合的な援助の方針
2.生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
3.週間サービスの内容
4.サービス担当者会議の要点
5.支援経過

解答

1.○ 正しい.
2.× 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)はケアプラン第2表に記載される.
3.× 週間サービスの内容はケアプラン第3表に記載される.
4.× サービス担当者会議の要点はケアプラン第4表に記載される.
5.× 支援経過はケアプラン第5表に記載される.


【23】国際疾病分類はどれか. 
1.ICD
2.ICF
3.ICF-CY
4.ICHI
5.ICIDH

解答

1.○ 正しい.
2.× ICF:国際生活機能分類
3.× ICF-CY:国際生活機能分類-小児青少年版
4.× ICHI:保健・医療関連行為に関する国際分類
5.× ICIDH:国際障害分類


【24】診療報酬は通常何年ごとに改定されるか. 
1.2年ごと
2.3年ごと
3.4年ごと
4.5年ごと
5.6年ごと

解答

1.○ 診療報酬は通常2年ごとに改定される.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【25】短下肢装具で自立歩行が可能な二分脊椎児.該当する機能残存レベルの上限はどれか. 
1.L2
2.L3
3.L4
4.L5
5.S1

解答

1.× 二分脊椎のL2残存機能レベルでは長下肢装具を用いる.
2.× 二分脊椎のL3残存機能レベルでは長下肢装具を用いる.
3.○ 二分脊椎で短下肢装具を用いて自立歩行が可能な残存機能レベルはL4である.
4.× 二分脊椎のL5残存機能レベルでは靴型装具を用いる.
5.× 二分脊椎のS1残存機能レベルでは装具を用いない.


【26】褥瘡の危険因子でないのはどれか. 
1.低栄養
2.血圧の上昇
3.体動の減少
4.局所的な圧迫
5.骨の突出部位

解答

1.○ 正しい.
2.× 血圧の上昇は褥瘡の危険因子でない.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【27】腰椎椎間板ヘルニアの疼痛誘発テストはどれか. 
1.Adsonテスト
2.Bragardテスト
3.Eichhoffテスト
4.Thomsenテスト
5.Yergasonテスト

解答

1.× Apleyテストは半月板損傷で陽性となる.
2.○ 正しい.
3.× Eichhoffテスト(Finkelstein test)はde Quervain病で陽性となる.
4.× Thomasテストは股関節屈曲拘縮で陽性となる.
5.× Yergasonテストは上腕二頭筋長頭腱炎で陽性となる.


【28】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準1995年)に基づく関節角度測定の運動方向と参考可動域角度の組合せで正しいのはどれか. 
1.頸部屈曲 ――― 80度
2.胸腰部屈曲 ――― 45度
3.肩伸展 ――― 30度
4.股外転 ――― 25度
5.足屈曲(底屈) ――― 60度

解答

1.× 頸部屈曲 ――― 60度
2.○ 正しい.
3.× 肩伸展 ――― 50度
4.× 股外転 ――― 45度
5.× 足屈曲(底屈) ――― 45度


【29】Parkinson病でみられるのはどれか. 
1.痙縮
2.分回し歩行
3.姿勢反射障害
4.膝蓋腱反射亢進
5.Babinski反射陽性

解答

1.× Parkinson病では痙縮でなく固縮がみられる.
2.× 分回し歩行は脳卒中片麻痺でみられる.
3.○ 正しい.
4.× 膝蓋腱反射亢進は錐体路障害でみられる.
5.× Babinski反射陽性は錐体路障害でみられる.


【30】SF-36の下位尺度に含まれないのはどれか. 
1.活力
2.栄養状態
3.体の痛み
4.社会生活機能
5.全体的健康観

解答

1.○ 正しい.
2.× SF-36の下位尺度に栄養状態は含まれない.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【31】Down症候群に特徴的でない二次障害はどれか.2つ選べ. 
1.体幹の側弯
2.股関節の脱臼
3.足部の内反変形
4.環軸関節の亜脱臼
5.膝関節の屈曲拘縮

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× Down症候群は低緊張であるため足部の内反変形はみられない.
4.○ 正しい.
5.× Down症候群は低緊張であるため膝関節の屈曲拘縮はみられない.


【32】アミロイドの沈着がみられるのはどれか. 
1.Alzheimer病
2.Huntington病
3.Pick病
4.Wernicke脳症
5.多発性硬化症

解答

1.○ 正しい.
2.× Huntington病は線条体の神経細胞の変性・脱落がみられる.
3.× Pick病は前頭・側頭葉の神経細胞にPick球がみられる.
4.× Wernicke脳症はビタミンB1(チアミン)欠乏による中枢神経障害である.
5.× 多発性硬化症は中枢神経の脱髄性病変がみられる.


【33】原発性骨粗鬆症の診断基準に含まれる脆弱性骨折の部位はどれか. 
1.椎体
2.上腕骨遠位部
3.橈骨近位部
4.大腿骨遠位部
5.距骨

解答

1.○ 原発性骨粗鬆症の診断基準に含まれる脆弱性骨折の部位は大腿骨近位部または椎体である.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【34】運動軸が1つの関節はどれか.2つ選べ. 
1.顎関節
2.距腿関節
3.椎間関節
4.腕橈関節
5.下橈尺関節

解答

1.× 顎関節の運動軸は3つである.
2.○ 正しい.
3.× 椎間関節の運動軸は3つである.
4.× 腕橈関節の運動軸は3つである.
5.○ 正しい.


【35】末梢動脈疾患で正しいのはどれか. 
1.女性に多い.
2.足関節上腕血圧比が高い.
3.間欠性跛行を呈することはない.
4.閉塞性動脈硬化症の頻度が低い.
5.下肢切断が必要になることがある.

解答

1.× 末梢動脈疾患は男性に多い.
2.× 末梢動脈疾患では足関節上腕血圧比が0.90以下である.
3.× 末梢動脈疾患では間欠性跛行を呈る.
4.× 末梢動脈疾患の大半は閉塞性動脈硬化症である.
5.○ 正しい.


【36】糖尿病患者に対する運動療法で正しいのはどれか. 
1.インスリン抵抗性を改善する.
2.血糖値に関わらず推奨される.
3.尿中への糖の排泄を目的とする.
4.Borg指数で17程度が適している.
5.シックデイに関わらず推奨される.

解答

1.○ 正しい.
2.× 糖尿病患者に対する運動療法は空腹時血糖250mg/dL以上または尿中ケトン体が陽性の場合に禁忌となる.
3.× 糖尿病患者に対する運動療法は尿中への糖の排泄ではなく,血糖値の低下を目的とする.
4.× 糖尿病患者に対する運動療法はBorg指数で11~13程度が適している.
5.× 糖尿病患者に対する運動療法はシックデイの場合には推奨されない.


【37】急性心筋梗塞の胸痛の特徴で正しいのはどれか. 
1.数分以内に消失する.
2.冷汗を伴うことが多い.
3.感冒様の前駆症状がある.
4.放散痛は生じないことが多い.
5.硝酸薬の投与で速やかに消失する.

解答

1.× 急性心筋梗塞の胸痛は15分以上持続する.
2.○ 正しい.
3.× 急性心筋梗塞の胸痛では感冒様の前駆症状はない.
4.× 急性心筋梗塞の胸痛では放散痛が生じることが多い.
5.× 急性心筋梗塞の胸痛は硝酸薬が無効である.


【38】患者との面接時における開かれた質問はどれか. 
1.「右膝は痛みますか」
2.「朝食を食べましたか」
3.「退院後は何をしますか」
4.「昨晩は熟睡できましたか」
5.「椅子から立ち上がれますか」

解答

1.× 「右膝は痛みますか」:閉鎖型質問
2.× 「朝食を食べましたか」:閉鎖型質問
3.○ 正しい.
4.× 「昨晩は熟睡できましたか」:閉鎖型質問
5.× 「椅子から立ち上がれますか」:閉鎖型質問


【39】ステロイドの副作用で正しいのはどれか. 
1.筋固縮
2.低血圧
3.低血糖
4.大腿骨頭壊死
5.高カリウム血症

解答

1.× 筋固縮はステロイドの副作用でない.
2.× ステロイドの副作用に高血圧がある.
3.× ステロイドの副作用に高血糖がある.
4.○ 正しい.
5.× ステロイドの副作用に低カリウム血症がある.


【40】正常成人の立位姿勢で持続的に活動している筋はどれか. 
1.腸腰筋
2.大殿筋
3.大腿四頭筋
4.大腿二頭筋
5.ヒラメ筋

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ ヒラメ筋は立位姿勢で持続的に活動している.


【41】大腿義足歩行の立脚中期で体幹の義足側への側屈がみられた.原因はどれか.2つ選べ. 
1.体重荷重線が足部内側にある.
2.義足が非切断肢よりも長すぎる.
3.ソケット初期内転角が大きすぎる.
4.ソケット外壁の高さが不足している.
5.義足股関節外転筋群に筋力低下がある.

解答

1.× 義足側の立脚中期で体重荷重線が足部外側にあるときに義足側への体幹側屈がみられる.
2.× 義足が非切断肢よりも短すぎるときに義足側の立脚中期で義足側への体幹側屈がみられる.
3.× ソケット初期内転角が小さすぎるときに義足側の立脚中期で義足側への体幹側屈がみられる..
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【42】災害リハビリテーション支援で誤っているのはどれか. 
1.理学療法士は災害復興期から活動を開始する.
2.災害者自身が廃用症候群を予防できるよう支援する.
3.発災時に迅速な対応ができるように平時から対策する.
4.災害規模によって数か月程度の長期的な支援が必要となる.
5.支援統括組織に日本災害リハビリテーション支援協会[Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team(JRAT)]がある.

解答

1.× 理学療法士は応急修復期から活動を開始する.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【43】神経伝導検査でF波の潜時延長と出現率減少がみられる疾患はどれか. 
1.Guillain-Barré症候群
2.Parkinson病
3.重症筋無力症
4.進行性核上性麻痺
5.多系統萎縮症

解答

1.○ 髄鞘障害でF波の潜時延長と出現率減少がみられるため,のGuillain-Barré症候群である.
2.× Parkinson病は黒質の変性疾患である.
3.× 重症筋無力症は神経筋接合部疾患である.
4.× 進行性核上性麻痺は大脳基底核と脳幹の変性疾患である.
5.× 多系統萎縮症は小脳系,大脳基底核系,自律神経と錐体路の変性疾患である.


【44】神経筋疾患と理学療法の組合せで正しいのはどれか. 
1.Guillain-Barré症候群 ――― Böhler体操
2.筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉 ――― 重錘を装着した歩行練習
3.ジストニア ――― 筋電図バイオフィードバック
4.重症筋無力症 ――― 漸増抵抗運動
5.多発性硬化症 ――― 交代浴

解答

1.× 脊椎圧迫骨折 ――― Böhler体操
2.× 脊髄小脳変性症 ――― 重錘を装着した歩行練習
3.○ 正しい.
4.× 重症筋無力症 ――― 漸増抵抗運動は禁忌である
5.× 多発性硬化症 ――― 交代浴は禁忌である


【45】髄膜刺激徴候を誘発しやすい体位はどれか. 
1.側臥位
2.端座位
3.長座位
4.背臥位
5.腹臥位

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 髄膜刺激徴候を誘発しやすい体位は髄膜が伸張される長座位である.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【46】脳の領域と機能の組合せで正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.角回 ――― 情動
2.縁上回 ――― 空間的構成
3.Broca野 ――― 聴覚
4.前頭前野 ――― 行動の抑制
5.Wernicke野 ――― 運動のプログラミング

解答

1.× 角回 ――― 読み・書き・計算
2.○ 正しい.
3.× Broca野 ――― 運動性言語
4.○ 正しい.
5.× Wernicke野 ――― 感覚性言語


【47】顔面の皮膚感覚を支配する脳神経はどれか. 
1.第Ⅰ脳神経
2.第Ⅱ脳神経
3.第Ⅲ脳神経
4.第Ⅳ脳神経
5.第Ⅴ脳神経

解答

1.× 第Ⅰ脳神経は嗅覚を司る.
2.× 第Ⅱ脳神経は視覚を司る.
3.× 第Ⅲ脳神経は4つの外眼筋と瞳孔括約筋,毛様体筋を支配する.
4.× 第Ⅳ脳神経は上斜筋を支配する.
5.○ 正しい.


【48】Wernicke-Mann肢位の特徴で正しい組合せはどれか. 
1.肩関節 ――― 外転位
2.肘関節 ――― 伸展位
3.手指 ――― 伸展位
4.膝関節 ――― 伸展位
5.足関節 ――― 背屈位

解答

1.× 肩関節 ――― 内転・内旋位
2.× 肘関節 ――― 屈曲位
3.× 手指 ――― 屈曲位
4.○ 正しい.
5.× 足関節 ――― 内反・底屈位


【49】診療記録で正しいのはどれか. 
1.保存期間は1年間である.
2.SOAPのPはProblemである.
3.紙媒体では鉛筆で記載してもよい.
4.患者は自分の診療記録の開示を請求できる.
5.時間がない場合は後日まとめて記載してよい.

解答

1.× 診療記録の保存期間は5年間である.
2.× SOAPのPはPlan(計画)である.
3.× 紙媒体では黒または青のインクのボールペン等で記載し,鉛筆など消せるものは使用しない.
4.○ 正しい.
5.× 時間がない場合でも後日まとめて記載せず,理学療法実施のたびに記載する.


【50】感染症対策で正しいのはどれか. 
1.使用後の手袋は裏返しにして捨てる.
2.手袋使用後の手指消毒は不要である.
3.感染症患者以外には標準予防策は不要である.
4.マスクなしで咳をするときは手掌で口を覆う.
5.空気感染予防のためには隔離室内の気圧を陽圧に設定する.

解答

1.○ 正しい.
2.× 手袋使用後も手指消毒は必要である.
3.× 感染症患者だけでなく,すべての患者に対して標準予防策は必要である.
4.× マスクなしで咳をするときはティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆うか,上着の内側や袖で覆う.
5.× 空気感染予防のためには隔離室内の気圧を陰圧に設定する.


午前51~100 | 【PT国試過去問】 | 午後51~100