第60回作業療法士国家試験 午後1~50

【1】Danielsらの徒手筋力テストの段階5及び4の検査を図に示す.検査者が抵抗を加える位置で正しいのはどれか.2つ選べ.

1.肩甲骨挙上
2.肘屈曲
3.母指内転
4.股関節屈曲,外転,外旋と膝屈曲
5.股関節内転

解答

1.× 肩甲骨挙上の段階5・4は両肩に抵抗をかける.
2.× 肘屈曲は手くびより近位で前腕掌側の表面にあてがって抵抗をかける.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 股関節内転は膝関節のすぐ上の大腿遠位部の内側面に抵抗をかける.


【2】36歳の男性.手にバスケットボールが当たって受傷した.来院時の手指の写真と単純エックス線写真を示す.考えられるのはどれか. 

1.Bennett骨折
2.Heberden結節
3.槌指
4.ばね指
5.ボクサー骨折

解答

1.× Bennett骨折は母指CM関節の脱臼骨折である.
2.× Heberden結節はDIP関節の変形性関節症である.
3.○ DIP関節の屈曲と末節骨の裂離骨折がみられるので槌指である.
4.× ばね指は屈筋腱の腱鞘炎である.
5.× ボクサー骨折は中手骨頚部骨折である.


【3】67歳の男性.右利き.灯油による引火で右前腕以遠にⅢ度の熱傷を受傷した.救命救急センターに搬送され,壊死組織のデブリドマンを施行され,植皮術が行われた.術後3日目にベッドサイドで作業療法を開始した.この時点での受傷手への対応で正しいのはどれか. 
1.抵抗運動
2.安静時の挙上
3.動的スプリント製作
4.他動関節可動域訓練
5.弾性包帯による圧迫療法

解答

1.× 術後3日目の抵抗運動は禁忌である.
2.○ 正しい.
3.× 静的スプリントを製作する.
4.× 術後2~3週間の固定・安静の後,移植皮膚の生着を確認してからから他動関節可動域訓練を行う.
5.× 術後3日目の弾性包帯による圧迫療法は禁忌である.


【4】21歳の女性.先天性の右上腕欠損.上肢の写真を示す.起こり得る2次性の障害で最もみられるのはどれか.

1.幻肢痛
2.神経腫
3.側弯症
4.断端浮腫
5.骨端線の過成長

解答

1.× 先天性の上腕欠損なので幻肢痛はみられない.
2.× 先天性の上腕欠損なので神経腫はみられない.
3.○ 正しい.
4.× 先天性の上腕欠損なので断端浮腫はみられない.
5.× 21歳なので骨端線の過成長はみられない.


【5】69歳の女性.関節リウマチ.45歳で診断を受けて投薬治療が開始された.SteinbrockerのステージⅢ,クラス2.両手指は軽度尺側偏位で動揺性を認めるが痛みはない.右小指にはスワンネック変形を認める.評価時には「日常生活でしっかり手を使うようにしないと関節の変形が進む」と認識していた.作業療法で最も優先順位が高いのはどれか. 
1.関節保護指導
2.上肢等張性筋力訓練
3.午前中の家事実施を指導
4.柔らかいマットレスの導入
5.右小指のリングスプリントの製作

解答

1.○ 正しい.
2.× 上肢等尺性筋力訓練
3.× 午後の家事実施を指導
4.× 硬めのマットレスの導入
5.× 右小指の指用ナックルベンダーの製作


【6】52歳の男性.右利き.脳梗塞による右片麻痺.発症後14日目に回復期リハビリテーション病棟へ転棟した.意識は清明で,認知機能に問題はない.Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅲ,下肢Ⅴ.疼痛や浮腫はない.機能回復を目的とした作業療法を図に示す.現時点でこの患者の右上肢に行う訓練で最も適切なのはどれか. 

1.ペグ差し
2.立位での輪投げ
3.両手でボールを受ける
4.輪を背中で持ち替え
5.肘伸展位での窓ふき

解答

1.× ペグ差しは上肢ステージⅢ,手指ステージⅢでは困難である.
2.× 立位での輪投げは上肢ステージⅢ,手指ステージⅢでは困難である.
3.× 両手でボールを受けるは上肢ステージⅢ,手指ステージⅢでは困難である.
4.○ 正しい.
5.× 肘伸展位での窓ふきは上肢ステージⅢでは困難である.


【7】19歳の男性.身長170cm,体重60kg.頸髄損傷(第6頸髄節まで機能残存).車椅子は全幅70cm,全長120cm.車椅子とベッド間の移乗は前・後方移動で自立し,ADLは自助具や環境整備で自立の見込みを得た.在宅改修図を示す.正しいのはどれか. 

1.①屋外スロープの勾配を1/6にした.
2.②居間と台所の開口部の幅を80cmにした.
3.③車椅子が回転するポーチの幅を140cmにした.
4.④歩行者とすれ違うための廊下幅を120cmにした.
5.⑤床面から浴槽の縁までの高さを80cmにした.

解答

1.× ①屋外スロープの勾配を1/12以下にした.
2.× ②居間と台所の開口部の幅を90cm以上にした.
3.○ 正しい.
4.× ④歩行者とすれ違うための廊下幅を150cm以上にした.
5.× ⑤床面から浴槽の縁までの高さは車椅子の座面と同じ高さにした.


【8】8歳の女児.脳性麻痺痙直型両麻痺である.ボール遊び時の姿勢設定を図に示す.この児の適切な姿勢設定はどれか.

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× はさみ脚肢位となっているため不適切である.
2.× 割座は下肢の股関節屈曲・内転・内旋筋の緊張を高めるため不適切である.
3.× 下肢の股関節屈曲・内転・内旋筋の緊張を高めるため不適切である.
4.× 下肢の伸展パターンの筋緊張を高めるため不適切である.
5.○ 正しい.


【9】78歳の男性.病室からリハビリテーション室まで歩いて来室した.到着後に息苦しく動悸がすると訴えたため,直ちに心電図検査が施行された.心電図を示す.心電図の所見で正しいのはどれか. 

1.心室細動
2.心室頻拍
3.心房細動
4.心室性期外収縮
5.完全房室ブロック

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ P波なし,細かく震える基線(f波),QRS波のリズムがバラバラであるためので心房細動である.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【10】71歳の男性.令和6年8月19日(月)に病院で認知症の検査を受けた.結果を示す.疑われる認知症の重症度はどれか. 

1.認知症なし
2.軽度認知症
3.中等度認知症
4.重度認知症
5.最重度認知症

解答

1.× 認知症なし:24±4点
2.○ 19点なので軽度認知症(19±5点)である.
3.× 中等度認知症:15±4点
4.× 重度認知症:12±5点
5.× 最重度認知症:4±3点


【11】57歳の女性.右利き.5年前から多発性筋炎でステロイド治療中.約1か月前から四肢の脱力と易疲労性が著しく,多発性筋炎の増悪と診断された.嚥下機能は保たれている.スプーンの把持は可能だが,食事の途中で口まで運べなくなり介助を要する.この患者への対応で適切なのはどれか. 
1.BFOの使用を検討する.
2.利き手交換訓練をする.
3.スプーンの柄の形状を検討する.
4.上肢の使用を控えるよう指導する.
5.高負荷での上肢の筋力増強訓練をする.

解答

1.○ 正しい.
2.× 四肢の脱力と易疲労性が著しいので利き手交換訓練は適切でない.
3.× スプーンの把持が可能なので柄の形状はそのままで良い.
4.× 無理のない範囲で上肢の使用を指導する.
5.× 高負荷での上肢の筋力増強訓練は禁忌である.


【12】48歳の男性.ALS.発症後8年が経過し在宅生活を続けている.四肢や体幹に運動麻痺を生じて,手指筋力はMMT0レベル,ADLは全介助.さらに錐体路障害の症状を認め,人工呼吸器を装着している.この患者が導入するコミュニケーション機器で適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.人工喉頭
2.透明文字盤
3.キーボードカバー
4.音声メモICレコーダー
5.眼球運動センサースイッチ

解答

1.× 人工喉頭は喉頭摘出患者に適応となる.
2.○ 正しい.
3.× キーボードカバーは脊髄小脳変性症に適応となる.
4.× 人工呼吸器を装着しているので音声メモICレコーダーは適応しない.
5.○ 正しい.


【13】48歳の男性.右利き.脳梗塞で左片麻痺.この患者のSOAPによる作業療法記録を示す.記入箇所で適切でないのはどれか. 

1.【S】①家族:退院までには,自分でトイレに行けるようになってほしいと思います.
2.【O】②FIMの更衣(下半身)は4,トイレ動作は5.
3.【A】③左手の把持機能が向上し,ズボンの把持が安定している.
4.【A】④トイレ動作は自立レベルになると予測する.
5.【P】⑤短期目標(2週間後)は,「ズボンと下着の着脱を含むトイレ動作が自立できる」に設定.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 治療目標は【A】に記載する.


【14】18歳の男子.2年前までは成績優秀で友人も多かった.1年前から口数が減り徐々に欠席が増え,半年前から不登校となった.「隣人が見張っている」と言いだし自室のカーテンを一日中閉めたままにしている.1か月前から自室に引きこもり,「自分の考えが人に伝わってしまう」,「誰もいないのに自分の悪口が聞こえてくる」などと言うようになった.2週前から入浴をしていない.この患者の症状で誤っているのはどれか. 
1.幻聴
2.行為心迫
3.思考伝播
4.被害妄想
5.無為自閉

解答

1.○ 「誰もいないのに自分の悪口が聞こえてくる」と言っているので幻聴の症状がみられている.
2.× 誤り.
3.○ 「自分の考えが人に伝わってしまう」と言っているので思考伝播の症状がみられている.
4.○ 「誰もいないのに自分の悪口が聞こえてくる」と言っているので被害妄想の症状がみられている.
5.○ 自室に引きこもり2週前から入浴をしていないので無為自閉の症状がみられている.


【15】30歳の女性.統合失調症.高校在学中に発症し休学をしながらも高校を卒業した.その後数回の入退院を経て,現在精神科デイケアを利用している.「作業の手順がわからない」,「説明がよく分からない」と訴えるため,認知機能検査を実施した.図版の一部を図に示す.この検査で評価するのはどれか. 

1.運動機能
2.遂行機能
3.言語流暢性
4.注意と処理速度
5.ワーキングメモリー

解答

1.× BACS-Jの運動機能評価はトークン運動課題検査である.
2.○ BACS-Jのロンドン塔検査は遂行機能を評価する.
3.× BACS-Jの言語流暢性評価は意味流暢性検査と文字流暢性検査である.
4.× BACS-Jの注意と処理速度評価は符号課題検査である.
5.× BACS-Jのワーキングメモリー評価は数字順列課題検査である.


【16】30歳の女性.事務職.元来仕事熱心で上司の信頼が厚かった.指導していた新人の部下が突然退職し,自分の指導方針が誤っていたためではないかと自責の念にかられた.その後,抑うつ気分,意欲低下,食欲低下および睡眠障害が出現し,仕事上のミスが増えたため,精神科を受診した.うつ病と診断され,希死念慮も認められたため入院となった.入院2週目に作業療法が開始された.作業療法開始時に収集すべき情報で適切でないのはどれか. 
1.睡眠の状態
2.日中の過ごし方
3.病気に対する認識
4.疲労感
5.復職の希望時期

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 入院2週目の作業療法開始時に復職の希望時期の情報収集はまだ早い.


【17】60歳の女性.うつ病.半年前から家事はできず横になって過ごすことが増えた.最近,非哀感や不安感が強くなり夫に付き添われ精神科を受診したところ,不安の軽減と活動性の向上を目的に外来作業療法が開始された.この患者の評価に使用する非自記式の尺度で適切なのはどれか. 
1.BDI-Ⅱ
2.HAM-D(HRS-D)
3.L-SAS
4.SDS
5.STAI

解答

1.× BDI-Ⅱは自記式の抑うつ尺度である.
2.○ 正しい.
3.× L-SASは自記式の社会不安障害尺度である.
4.× SDSは自記式の抑うつの尺度である.
5.× STAIは自記式の状態-特性不安尺度である.


【18】70歳の男性.前頭側頭型認知症.元来真面目な性格であった.ここ数年は平気で他人の物を盗るようになり,注意されても意に介さなくなった.また,些細なことで怒り出すため,対応に困った家族が主治医と相談し,デイケアに通所し,作業プログラムに参加することになった.この患者への対応で適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.抽象的な指示を与える.
2.作業に失敗したら叱責する.
3.作業台の席替えを頻繁に行う.
4.道具を見やすいところに置く.
5.作業を決まった手順で行わせる.

解答

1.× 具体的な指示を与える.
2.× 作業に失敗しても受容する.
3.× 作業台の座席位置を固定する.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【19】33歳の女性.1年前から娘の不登校で心労が重なっていた.1か月前から不眠と意欲低下が出現した.2週前からは口数が減り,食事をほとんど口にせず,「私は母親失格です」と涙をこぼすようになった.夫に付き添われ精神科を受診し入院となり,作業療法が開始された.入院10日目,担当する作業療法士に「もう死なせて下さい.今日で終わりにしたいです」と訴えた.作業療法士の対応で適切なのはどれか. 
1.「世の中にはもっと苦しい人もいます」
2.「死にたいなどと言わずにもっと頑張りましょう」
3.「薬が効いていないので,主治医に伝えておきます」
4.「なぜそのような気持ちになったのか,聞かせてください」
5.「まだ入院したばかりですから,辛くても我慢して下さい」

解答

1.× 「世の中にはもっと苦しい人もいます」と発言するのは不適切である.
2.× 「死にたいなどと言わずにもっと頑張りましょう」と励ますのは不適切である.
3.× 「薬が効いていないので,主治医に伝えておきます」と治療に関する発言は不適切である.
4.○ 「なぜそのような気持ちになったのか,聞かせてください」と傾聴しているので適切である.
5.× 「まだ入院したばかりですから,辛くても我慢して下さい」と発言するのは不適切である.


【20】31歳の女性.小学生の頃から虚無感を抱くことが多かった.高校では異性との交際が活発であった.相手に過度に依存的になったかと思うと些細なきっかけで罵倒する行動がみられた.別れを切り出されると自殺をほのめかしたり,リストカットで相手を引き留めようとしたりすることが多く,成人してからも続いた.今回も自傷行為のためパートナーと精神科外来を受診した.この患者の治療法で適切でないのはどれか. 
1.認知行動療法
2.力動的精神療法
3.弁証法的行動療法
4.TEACCHプログラム
5.メンタライゼーション療法

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× TEACCHプログラムは自閉症スペクトラム症の治療法である.
5.○ 正しい.


【21】糖尿病患者の低血糖発作時の症状はどれか. 
1.胸痛
2.口渇
3.動悸
4.腹痛
5.手のしびれ

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 低血糖発作時の症状は発汗,振戦,頻脈などの交感神経刺激症状がみられる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【22】CRPSで正しいのはどれか. 
1.男性に多い.
2.高齢者に多い.
3.手根背屈変形をきたす.
4.骨折後の発症率は80%である.
5.外傷疾病に不釣り合いな持続性疼痛がある.

解答

1.× CRPSは女性に多い.
2.× CRPSは中高年者に多い.
3.× CRPSは手根掌屈変形をきたす.
4.× CRPSの骨折後の発症率は20%である.
5.○ 正しい.


【23】日本版デンバー式発達スクリーニング検査で6か月児が可能なのはどれか. 
1.発音をまねる.
2.寝返りをする.
3.バイバイをする.
4.親指を使ってつかむ.
5.両手の積み木を打ち合わせる.

解答

1.× 「発音をまねる」は11か月児が可能である.
2.○ 正しい.
3.× 「バイバイをする」は10か月児が可能である.
4.× 「親指を使ってつかむ」は10か月児が可能である.
5.× 「両手の積み木を打ち合わせる」は11か月児が可能である.


【24】高次脳機能障害の評価方法を示す.この評価方法はどれか. 

1.BADS
2.BIT
3.FAB
4.RBMT
5.SLTA

解答

1.× BADSは規則変換カード検査,行為計画検査,鍵探し検査,時間判断検査,動物園地図検査,修正6要素検査からなる評価方法である.
2.× BITは通常検査6項目,行動検査9項目からなる評価方法である.
3.○ 正しい.
4.× RBMTは姓名,持ち物,約束,絵,物語,顔写真,道順,用件,見当識と日付からなる評価方法である.
5.× SLTAは標準失語症検査である.


【25】医療スタッフの協働・連携によるチーム医療推進において,作業療法士の役割で最も適切なのはどれか. 
1.義肢製作
2.生体検査
3.疼痛管理
4.薬剤調整
5.住環境評価

解答

1.× 義肢製作は義肢装具士の役割である.
2.× 生体検査は臨床検査技師の役割である.
3.× 疼痛管理は医師,看護師の役割である.
4.× 薬剤調整は医師,薬剤師の役割である.
5.○ 正しい.


【26】作業と改善が期待される機能の組合せで最も適切なのはどれか. 
1.籐のかご編み ――― 視覚運動協応
2.機織りの整経 ――― 手指巧緻性
3.陶芸のたたら作り ――― 構成能力
4.和紙のちぎり絵作り ――― 記憶力
5.フィンガーペインティング ――― 手指筋力

解答

1.○ 正しい.
2.× 機織りの整経 ――― 構成能力
3.× 陶芸のたたら作り ――― 手指筋力
4.× 和紙のちぎり絵作り ――― 手指巧緻性
5.× フィンガーペインティング ――― 手指触覚刺激


【27】MTDLPでインテーク面接が終了し,対象者の望む生活の把握ができた.次の段階で用いるのはどれか.2つ選べ. 
1.生活行為申し送り表
2.生活行為課題分析シート
3.生活行為聞き取りシート
4.興味・関心チェックシート
5.生活行為向上マネジメントシート

解答

1.× 生活行為申し送り表は対象者が希望する生活行為向上に向けた継続的な支援が必要な段階で用いる.
2.○ 正しい.
3.× 生活行為聞き取りシートは対象者の希望する生活行為の目的を明確にする段階で用いる.
4.× 興味・関心チェックシートは対象者の希望する生活行為を把握する段階で用いる.
5.○ 正しい.


【28】橈骨遠位端骨折の術後に前腕から手関節の外固定を行った.外固定期間中の患肢への作業療法で最も優先されるのはどれか. 
1.温熱療法
2.母指内転位保持
3.手指の屈伸自動運動
4.前腕回内外自動運動
5.ADLでの積極的な使用

解答

1.× 温熱療法は外固定除去後から実施する.
2.× 母指外転位保持とする.
3.○ 正しい.
4.× 前腕回内外自動運動は外固定除去後から実施する.
5.× ADLでの積極的な使用は外固定除去後から実施する.


【29】ICUでの早期リハビリテーションにおける作業療法士の役割で最も適切なのはどれか. 
1.急性期の栄養管理を行う.
2.摂食嚥下機能の治療を行う.
3.スタッフの適切な配置を判断する.
4.ベッドサイドの医療機器を整備する.
5.退院後の日常生活機能を早期より予測する.

解答

1.× 急性期の栄養管理は医師,看護師の役割である.
2.× 摂食嚥下機能の治療は医師,看護師,言語聴覚士の役割である.
3.× スタッフの適切な配置の判断は医師の役割である.
4.× ベッドサイドの医療機器の整備は臨床工学技士の役割である.
5.○ 正しい.


【30】ロコモティブシンドロームにおけるロコモ度と判定基準の該当項目の組合せで正しいのはどれか. 
1.ロコモ度1 ――― 片脚で30cmの高さから立つことができない.
2.ロコモ度1 ――― 2ステップ値0.9以上1.1未満
3.ロコモ度2 ――― 両脚で20cmの高さから立つことができない.
4.ロコモ度2 ――― 2ステップ値1.1以上1.3未満
5.ロコモ度3 ――― 2ステップ値1.3以上1.5未満

解答

1.× ロコモ度1 ――― 片脚で430cmの高さから立つことができない.
2.× ロコモ度1 ――― 2ステップ値1.1以上1.3未満
3.○ 正しい.
4.× ロコモ度2 ――― 2ステップ値0.9以上1.1未満
5.× ロコモ度3 ――― 2ステップ値0.9未満


【31】障害者総合支援法で市町村が行う自立支援給付の訓練等給付に含まれるのはどれか. 
1.移動支援
2.施設入所支援
3.就労移行支援
4.地域相談支援
5.重度障害者等包括支援

解答

1.× 移動支援は地域生活支援事業に含まれる.
2.× 施設入所支援は自立支援給付の介護給付に含まれる.
3.○ 正しい.
4.× 地域相談支援は自立支援給付の相談支援に含まれる.
5.× 重度障害者等包括支援は自立支援給付の介護給付に含まれる.


【32】自助具を作製する際の道具と目的の組合せで正しいのはどれか. 
1.錐(きり) ――― 材料の厚さを測る.
2.電動ボール盤 ――― 針金を切る.
3.ノギス ――― 板に穴をあける.
4.ペンチ ――― 木材を削る.
5.万力 ――― 材料を固定する.

解答

1.× 錐(きり) ――― 板に穴をあける.
2.× 電動ボール盤 ――― 木材を削る.
3.× ノギス ――― 材料の厚さを測る.
4.× ペンチ ――― 針金を切る.
5.○ 正しい.


【33】介護保険サービスで貸与できる福祉用具はどれか. 
1.簡易浴槽
2.シャワーチェア
3.入浴用介助ベルト
4.ポータブルトイレ
5.トランスファーボード

解答

1.× 簡易浴槽は購入費支給の対象である.
2.× シャワーチェアは購入費支給の対象である.
3.× 入浴用介助ベルトは購入費支給の対象である.
4.× ポータブルトイレは購入費支給の対象である.
5.○ 正しい.


【34】感染対策で正しいのはどれか. 
1.吐物の付着した手はまずアルコール製剤で洗う.
2.ノロウイルス感染症の患者は陰圧室に隔離する.
3.便で汚染された衣類の交換時はガウンを着用する.
4.患者に直接接触しなければ手指衛生は不要である.
5.インフルエンザ患者は解熱直後から作業療法室で訓練できる.

解答

1.× 吐物の付着した手はまず手洗いを実施しアルコール製剤で洗う.
2.× ノロウイルス感染症の患者は陰圧室のに隔離は必要ない.
3.○ 正しい.
4.× 患者に直接接触しななくとも手指衛生は必要である.
5.× インフルエンザ患者は解熱後2日を経過してから作業療法室で訓練できる.


【35】医療現場におけるハラスメントで誤っているのはどれか. 
1.非常勤職員も対象である.
2.ハラスメント対策は事業主の義務である.
3.「職場」とは勤務する事業所内に限られる.
4.セクシャルハラスメントの対象に性別は関係ない.
5.部下から上司への言動もパワーハラスメントになる.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 「職場」とは事業所内だけでなく労働者が業務を遂行する場所全体を含む.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【36】生化学検査項目と検査値の組合せで基準範囲内にあるのはどれか. 
1.C反応性蛋白(CRP) ――― 7.2mg/dL
2.アルブミン(Alb) ――― 2.3g/dL
3.総コレステロール(TC) ――― 345mg/dL
4.脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP) ――― 350pg/mL
5.ヘモグロビンA1c(HbA1c)(NGSP) ――― 5.5%

解答

1.× C反応性蛋白(CRP) ――― 0.3mg/dL以下
2.× アルブミン(Alb) ――― 3.8~5.3g/dL
3.× 総コレステロール(TC) ――― 130~219mg/dL
4.× 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP) ――― 18.4pg/mL以下
5.○ ヘモグロビンA1c(HbA1c)(NGSP) ――― 4.6~6.2%


【37】病院で患者の個人情報を取り扱う上で適切なのはどれか. 
1.親族の求めに応じ,その場で診療録の開示を行った.
2.個人情報に関する苦情申し立てに医療相談窓口で対応した.
3.患者の同意なしで見舞い客からの症状問い合せに回答した.
4.病院長の同意を得たので,患者の個人情報を病院外で発表した.
5.臨床実習後に学生が個人情報を取り扱っていたことを患者に説明した.

解答

1.× 患者の同意なしに親族の求めに応じて診療録の開示を行ってはならない.
2.○ 正しい.
3.× 患者の同意がなければ見舞い客からの症状問い合せに回答してはならない.
4.× 病院長の同意があっても患者の個人情報を病院外で発表してはならない.
5.× 臨床実習前に学生が個人情報を取り扱うことを患者に説明し同意を得る.


【38】介護保険における通所リハビリテーションで正しいのはどれか. 
1.主な目的は入浴の支援である.
2.介護老人保健施設で実施できる.
3.利用期間の上限は6か月である.
4.要介護2以上の要介護者が対象である.
5.介護保険事業の施設サービスの一つである.

解答

1.× 通所リハビリテーションの主な目的は居宅要介護者に対する心身の機能の維持回復を図り,日常生活の自立を助けるために必要なリハビリテーションを提供することである.
2.○ 通所リハビリテーションは介護老人保健施設,病院,診療所その他厚生労働省令で定める施設で実施できる.
3.× 通所リハビリテーションに利用期間の制限は設けられていない.
4.× 通所リハビリテーションは要介護者が対象である.
5.× 通所リハビリテーションは介護保険事業の居宅サービスの一つである.


【39】アルコール依存症の離脱症状はどれか. 
1.解離症状
2.観念奔逸
3.強迫行為
4.幻視
5.思考途絶

解答

1.× 解離症状は神経症性障害でみられる.
2.× 観念奔逸は躁状態でみられる.
3.× 強迫行為は神経症性障害でみられる.
4.○ 正しい.
5.× 思考途絶は統合失調症でみられる.


【40】「持続性・安定性」の評価で「現在の社会適応度」の項目を含む尺度はどれか. 
1.BPRS
2.GAF
3.LASMI
4.Rehab
5.精神障害者ケアアセスメント(日本作業療法士協会版)

解答

1.× BPRSの評価項目は心気症,不安,情動的引きこもり,概念の統合障害,罪責感,緊張,衒奇症と不自然な姿勢,誇大性,抑うつ気分,敵意,猜疑心,幻覚による行動,運動減退,非協調性,不自然な思考内容,情動の平板化,興奮,失見当識である.
2.× GAFは精神障害者の全般的機能評価である.
3.○ 正しい.
4.× Rehabは逸脱行動と全般的行動評価である.
5.× 精神障害者ケアアセスメントは日常生活・社会生活7項目を評価する.


【41】睡眠衛生指導で正しいのはどれか. 
1.2時間程度の昼寝を推奨する.
2.朝起きたらカーテンを開ける.
3.毎日決められた時間に床に就く.
4.どうしても眠れない時には寝酒をする.
5.夜間は就寝直前まで明るい室内で過ごす.

解答

1.× 15時前の20~30分程度の昼寝を推奨する.
2.○ 正しい.
3.× 毎日決められた時間に起床する.
4.× 寝酒は控えるよう指導する.
5.× 夜間就寝直前は明るすぎない室内で過ごす.


【42】解離症(解離性障害)に対する作業療法士の対応で適切なのはどれか. 
1.患者の希望通りに作業活動を行う.
2.無意識の葛藤が発散できる活動を行う.
3.うまくできない部分は作業療法士が行う.
4.健忘が生じた場合には作業療法を中止する.
5.作業療法の時間外でも個別に活動を継続する.

解答

1.× 希望を聴取し患者に適切な作業活動を行う.
2.○ 正しい.
3.× うまくできない部分はアドバイスしながら作業療法士は適度に患者と作業を行う.
4.× 健忘が生じた場合は再受傷に注意しながら作業療法を行う.
5.× 作業療法の時間内で活動を実施する.


【43】精神科デイケアの小集団療法で適切なのはどれか. 
1.メンバー間の相互交流を促す.
2.混乱したときは多数決で決める.
3.スタッフがリーダーシップをとる.
4.感情的な発言は集団内で取り上げない.
5.沈黙がある場合はスタッフが議題を提供する.

解答

1.○ 正しい.
2.× 混乱したときは意見を整理し話し合いを促す.
3.× メンバー内で役割分担を決めてリーダーシップをとる.
4.× 感情的な発言も多様な意見として集団内で取り上げる.
5.× 沈黙がある場合はスタッフが議題や目的を明確にしメンバーが参加できるよう支援する.


【44】急性期後期のうつ病患者に対する作業療法導入期の対応で適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.経験のない作業を勧める.
2.作業工程の複雑な作業を勧める.
3.作業中に励ましの言葉をかける.
4.休養が重要であることを説明する.
5.うつ症状は気持ちの持ちようであると伝える.

解答

1.○ 正しい.
2.× 作業工程の単純な作業を勧める.
3.× 作業中に励ましの言葉は控える.
4.○ 正しい.
5.× うつ症状は病気であることを伝える.


【45】統合失調症の作業療法で観察される患者の特徴はどれか. 
1.活動への関心が拡大する.
2.作業工程で同じ失敗を繰り返す.
3.複数の課題を並行して実施する.
4.他患者の活動の仕方に口出しする.
5.予定外の出来事を的確に対処する.

解答

1.× 活動への関心が狭い.
2.○ 正しい.
3.× 複数の課題を並行して実施すると混乱してしまう.
4.× 他患者の活動に鈍感である.
5.× 予定外の出来事に対処できない.


【46】作業療法における自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)患者への対応で適切なのはどれか. 
1.問題行動に対しては内省を促す.
2.言葉を省略した短文で指示をする.
3.こだわりが認められた時は無言で制止する.
4.導入期には自由度の高い作業活動を用いる.
5.コミュニケーションの課題にはSSTを用いる.

解答

1.× 問題行動に対して内省を促すのは適切でない.
2.× 言葉を省略せず具体的に指示をする.
3.× こだわりが認められた時は見守る.
4.× 導入期には自由度の低い作業活動を用いる.
5.○ 正しい.


【47】注意欠如・多動性(注意欠如・多動性障害)を強く示唆する患者の発言はどれか. 
1.「今朝,私の脳が溶けて流れ出しました」
2.「周囲の全てが不気味で,何かが起こりそうで怖いです」
3.「じっとしているのが苦手で,後先考えずに行動して失敗します」
4.「まるで映画を見ているような感じで,周囲の景色に現実感がありません」
5.「検査で異常はないと言われましたが,私は間違いなく末期癌だと思います」

解答

1.× 「今朝,私の脳が溶けて流れ出しました」は統合失調症患者の体感幻覚を示唆する発言である.
2.× 「周囲の全てが不気味で,何かが起こりそうで怖いです」は統合失調症患者の妄想気分を示唆する発言である.
3.○ 正しい.
4.× 「まるで映画を見ているような感じで,周囲の景色に現実感がありません」は離人症を示唆する発言である.
5.× 「検査で異常はないと言われましたが,私は間違いなく末期癌だと思います」は心気症を示唆する発言である.


【48】統合失調症の家族心理教育で正しいのはどれか. 
1.専門家が家族の範囲を決める.
2.家族を精神疾患の原因と捉える.
3.家族の対処能力が向上することを目指す.
4.日常生活における家族の情緒的な巻き込まれを促す.
5.感情表出の高い家族には患者との対面接触時間を長くさせる.

解答

1.× 家族の範囲は役割・機能で変化するもので専門家が決めるものではない.
2.× 精神病理を家族関係の中で捉える.
3.○ 正しい.
4.× 日常生活における家族の情緒的な巻き込まれを防ぐ.
5.× 感情表出の高い家族には患者との対面接触時間を短くさせる.


【49】精神障害者に対するトライアル雇用の助成金を申請する窓口はどれか. 
1.就労継続支援A型事業所
2.就労定着支援事業所
3.障害者就業・生活支援センター
4.地域障害者就業センター
5.ハローワーク

解答

1.× 就労継続支援A型事業所は雇用契約等に基づき,訓練その他の必要な支援を実施する.
2.× 就労定着支援事業所は雇用された障害者の就労の継続を図るため,相談,指導及び助言等の必要な支援を実施する.
3.× 障害者就労・生活支援センターは,就業面・生活面における一体的な相談支援を実施する.
4.× 地域障害者就業センターは障害者の雇用の促進及び安定を図ることを目的としている.
5.○ 正しい.


【50】地域での精神科リハビリテーション実践の説明で正しいのはどれか. 
1.IPSは事前訓練後に就職活動を行う.
2.ACTは自宅外の生活の場にも訪問を行う.
3.両立支援の対象疾患に統合失調症が含まれる.
4.認知症初期集中支援チームの開設主体は都道府県である.
5.災害派遣精神医療チーム[Disaster Paychiatric Assistance Team(DPTA)]の派遣は災害の種類で決まる.

解答

1.× IPSは就職活動を行うにあたって事前訓練は必要としない.
2.○ 正しい.
3.× 両立支援の対象疾患はがん,脳血管疾患,肝疾患(慢性経過),指定難病,心疾患,糖尿病,若年性認知症である.
4.× 認知症初期集中支援チームの開設主体は市町村である.
5.× 災害派遣精神医療チーム[Disaster Paychiatric Assistance Team(DPTA)]の派遣は災害の種類によらない.


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