第2章 理学療法の基本 (01)理学療法研究 ③統計手法

〈第51回 PT国試 午後50〉

ある疾患に対する運動療法の再発予防効果を検討した研究のメタアナリシスを行った.その結果,運動療法を行った群の効果量は0.78(95%信頼区間:0.66~0.90)であった.これに対する考察で正しいのはどれか. 
1.運動療法は生命予後を改善する.
2.運動療法は再発予防効果がある.
3.運動療法は再発危険因子を改善する.
4.このメタアナリシスは統計学的に有意ではない.
5.運動療法を行った78%の人に再発予防効果がある.

解答

1.× 誤り.
2.○ ①運動療法の再発予防効果を検討した研究のメタアナリシス,②効果量は0.78,③95%信頼区間:0.66~0.90であることより,運動療法は再発予防効果がある.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第49回 PT国試 午後49〉

2つのバランス練習の効果を比較するため,オッズ比の95%信頼区間を計算したところ,以下の値が得られた.効果が有意であるのはどれか.2つ選べ. 
1.0.65~0.89
2.0.89~1.39
3.0.65~1.39
4.1.39~5.67
5.0.65~5.67

解答

1.○ 正しい.
2.× 0.89~1.39:オッズ比が1のときは良くも悪くも影響がない.
3.× 0.65~1.39:オッズ比が1のときは良くも悪くも影響がない.
4.○ 正しい.
5.× 0.65~5.67:オッズ比が1のときは良くも悪くも影響がない.


〈第45回 PT国試 午前23〉

検査の感度を示す説明で正しいのはどれか. 
1.測定の精密度
2.実際の患者が検査で陽性となる確率
3.実際の患者でない者が検査で陰性となる確率
4.検査が陽性だった場合に実際の患者である確率
5.検査が陰性だった場合に実際の患者でない確率

解答

1.× 測定の精密度:信頼性と妥当性
2.○ 正しい.
3.× 実際の患者でない者が検査で陰性となる確率:特異度
4.× 検査が陽性だった場合に実際の患者である確率:陽性反応的中度
5.× 検査が陰性だった場合に実際の患者でない確率:陰性反応的中度


〈第55回 PT国試 午前1〉

病気Xの有無を調べる検査の感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率を表に示す.正しいのはどれか.2つ選べ. 

1.病気Xに罹患している人で,検査が正しく陽性と判定された確率は85%である.
2.病気Xに罹患していない人で,検査が正しく陰性と判定された確率は95%である.
3.病気Xを判定する検査が陽性の場合,真に病気Xに罹患している確率は80%である.
4.病気Xを判定する検査が陰性の場合,真に病気Xに罹患している確率は15%である.
5.病気Xを判定する検査が陰性の場合,真に病気Xに罹患していない確率は90%である.

解答

1.× 感度=80%
2.○ 特異度=95%
3.× 陽性的中率=85%
4.× 100%-90%=10%
5.○ 陰性的中率=90%


〈第52回 PT国試 午後22〉

陽性尤度比の説明で正しいのはどれか. 
1.検査的中率と同義である.
2.陰性尤度比を足すと1になる.
3.「感度÷(1-特異度)」で計算できる.
4.値が小さいほど臨床導入の妥当性が高い.
5.実際の該当者のうち検査で陽性となる割合である.

解答

1.× 検査的中率には陽性的中率と陰性的中率があり,陽性的中率とは検査所見が陽性となった数のうち実際に罹患者がどのくらいいるかであるため,陽性尤度比とは同義でない.
2.× 陽性尤度比は陰性尤度比を足しても1にはならない.
3.○ 正しい.
4.× 陽性尤度比は値が大きいほど臨床導入の妥当性が高い.
5.× 実際の該当者のうち検査で陽性となる割合は感度であり,陽性尤度比は疾患あり群が疾患なし群と比べてその検査の陽性結果がどれくらい得やすいかを表す.


〈第48回 PT国試 午後49〉

100人の中に転倒経験者が50人いて,そのうちの40人はバランス検査で異常を指摘されていた.また,検査で異常を指摘されない転倒未経験者は30人いる.この検査の陽性尤度比はどれか.ただし,陽性尤度比は感度/(1-特異度)で表される. 
1.0.6
2.0.7
3.0.8
4.1.0
5.2.0

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 感度=40/(40+10)=0.8,特異度=30/(20+30)=0.6,陽性尤度比=感度/(1-特異度)=0.8/(1-0.6)=2.0


〈第46回 PT国試 午前19〉

100人の高齢者に対して,バランス検査を行った結果と実際の転倒経験との関係を四分表に示す.このバランス検査の特異度で正しいのはどれか. 

1.0.2
2.0.4
3.0.5
4.0.6
5.0.8

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 特異度=30/(20+30)=0.6
5.× 誤り.


〈第53回 PT国試 午後21〉

入院患者100人の収縮期血圧を集計した標本Aの分布は,中央値や平均値の近くに測定値が集中していた.他の値より極端に小さい値が1つあり,再度確認したところ誤記入であることが分かったため,この値を除いて標本Bを作った.標本Aに比べ標本Bの方が大きい統計量はどれか. 
1.分散
2.最大値
3.最頻値
4.平均値
5.標準偏差

解答

1.× 分散はエラー値を取り除いた標本Bの方が小さくなる.
2.× 最大値はエラー値を取り除いても変わらない.
3.× 最頻値はエラー値を取り除いても変わらない.
4.○ 正しい.
5.× 標準偏差はエラー値を取り除いた標本Bの方が小さくなる.


〈第60回 PT国試 午前11〉

Parkinson病患者30名に対してリズミカルな運動を導入した.導入1週後の歩行速度の変化について,統計処理を実施したところ,有意差(p<0.05)を認めた.選択した統計処理で適切なのはどれか.なお,歩行速度のデータは正規分布を示す. 
1.Paired-t検定
2.一元配置分散分析
3.Kruskal-Wallis検定
4.Mann-WhitneyのU検定
5.Wilcoxonの符号順位検定

解答

1.○ Paired-t検定:対応があり正規分布を示す連続変数の2群間の差を検定する.
2.× 一元配置分散分析:正規分布を示す連続変数の3群以上の差を検定する.
3.× Kruskal-Wallis検定:対応のない正規分布を示さない連続変数の3群以上の差を検定する.
4.× Mann-WhitneyのU検定:対応のない正規分布を示さない連続変数の2群間の差を検定する.
5.× Wilcoxonの符号順位検定:対応のある正規分布を示さない連続変数の2群間の差を検定する.


〈第55回 PT国試 午後21〉

対応のない正規分布を示す連続変数の2群間の差を検定するときに用いるのはどれか. 
1.Fisherの正確確率検定
2.Kruskal-Wallis検定
3.log-rank検定
4.相関分析
5.Studentのt検定

解答

1.× Fisherの正確確率検定:2×2分割表における2群間の差を検定する.
2.× Kruskal-Wallis検定:対応のない正規分布を示さない連続変数の3群以上の差を検定する.
3.× log-rank検定:2群の生存曲線の差を検定する.
4.× 相関分析:yとxの2変数がどれくらい直線づけられるかを検定する.
5.○ Studentのt検定:対応のない正規分を示す連続変数の分散が等しい2群間の差を検定する.


〈第59回 PT国試 午前21〉

対応があり正規分布を示さない連続変数の2群間の差を検討するのはどれか. 
1.Paired-t検定
2.一元配置分散分析
3.Kruskal-Wallis検定
4.Mann-WhitneyのU検定
5.Wilcoxon符号付順位検定

解答

1.× Paired-t検定:対応があり正規分布を示す連続変数の2群間の差を検定する.
2.× 一元配置分散分析:正規分布を示す連続変数の3群以上の差を検定する.
3.× Kruskal-Wallis検定:対応のない正規分布を示さない連続変数の3群以上の差を検定する.
4.× Mann-WhitneyのU検定:対応のない正規分布を示さない連続変数の2群間の差を検定する.
5.○ 正しい.


〈第56回 PT国試 午後22〉

対応がなく正規分布を示さない連続変数の3群間の差を検討するのに用いるのはどれか. 
1.相関分析
2.分散分析
3.Paired-t検定
4.Kruskal-Wallis検定
5.Mann-WhitneyのU検定

解答

1.× 相関分析:yとxの2変数がどれくらい直線づけられるかを検定する.
2.× 分散分析:正規分布を示す連続変数の3群以上の差を検定する.
3.× Paired-t検定:対応があり正規分布を示す連続変数の2群間の差を検定する.
4.○ 正しい.
5.× Mann-WhitneyのU検定:対応のない正規分布を示さない連続変数の2群間の差を検定する.


〈第50回 PT国試 午後49〉

3群に分けたグループ間で平均値に差があるかを統計学的に検定する手法で正しいのはどれか. 
1.t検定
2.相関分析
3.分散分析
4.重回帰分析
5.Welch検定

解答

1.× t検定:正規分布を示す連続変数の2群間の差を検定する.
2.× 相関分析:yとxの2変数がどれくらい直線づけられるかを統計学的に検定する.
3.○ 分散分析:正規分布を示す連続変数の3群以上の差を検定する.
4.× 重回帰分析:2つ以上の独立変数xから従属変数yを予測する式を作る,またはxがyに及ぼす一方的な影響度を調べる.
5.× Welch検定:対応のない正規分を示す連続変数の分散が等しくない2群間の差を検定する.


〈第47回 PT国試 午前22〉

2群間の差を統計学的に検定する際に,有意差が得られやすくなる要因はどれか. 
1.サンプル数が少ない.
2.検出力の設定が大きい.
3.データの妥当性が高い.
4.群内の標準偏差が小さい.
5.順序尺度のデータである.

解答

1.× サンプル数が少ないと有意差は得られにくくなる.
2.× 検出力が大きいほど検定の判定精度が上がるが,有意差が得られやすくなる要因でない.
3.× データの妥当性は有意差が得られやすくなる要因でない.
4.○ 正しい.
5.× 順序尺度のデータは比・間隔尺度のデータよりも有意差が得られにくい.