第60回作業療法士国家試験 午前1~50

【1】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準1995年)を図に示す.基本軸と移動軸で正しいのはどれか.2つ選べ.

1.肩甲帯屈曲
2.肩水平屈曲
3.手尺屈
4.股外旋
5.足背屈

解答

1.○ 正しい.
2.× 肩水平屈曲の基本軸は肩峰を通る矢状面への垂直線,移動軸は上腕骨である.
3.× 手尺屈の基本軸は前腕の中央線,移動軸は第3中手骨である.
4.× 股内旋である.
5.○ 正しい.


【2】56歳の男性.数年前から腰椎椎間板ヘルニアを指摘されていた.昨日,自宅で転倒して突然に麻痺を呈した.頸髄損傷と診断され,主な損傷部位以下の機能はASIA機能障害尺度[ASIA Impairment Scale(AIS)]でBである.頸椎MRIを示す.正しいのはどれか. 

1.横隔膜の麻痺がある.
2.肩をすくめることができる.
3.頸部の感覚機能障害を認める.
4.スプーンを握り食事ができる.
5.棚の上の物をとることができる.

解答

1.× 第5頸椎・第6頸椎間の損傷なので横隔膜の麻痺はない.
2.○ 正しい.
3.× 第5頸椎・第6頸椎間の損傷なので頸部の感覚機能障害は認めない.
4.× 第5頸椎・第6頸椎間の損傷なのでスプーンを握っての食事は困難である.
5.× 第5頸椎・第6頸椎間の損傷なので棚の上の物をとることは困難である.


【3】59歳の男性.右利き.脳梗塞による左片麻痺.発症21日目のBrunnstrom法ステージは上肢Ⅳ,手指Ⅲ,下肢Ⅲ.表在感覚は上肢手指下肢共に鈍麻.椅子座位で机上の布を用いたワイピングの上肢機能的訓練を図のように行った.訓練の目的はどれか.2つ選べ.

1.握力の改善
2.手指の巧緻性の改善
3.肘の分離運動の改善
4.手背の表在感覚の改善
5.肩甲帯の前方突出運動の改善

解答

1.× 手掌面で保持しているので握力の改善は難しい.
2.× 手指の動きは無いので巧緻性の改善は難しい.
3.○ 正しい.
4.× 手掌面の表在感覚の改善である.
5.○ 正しい.


【4】54歳の女性.手内筋が萎縮し,環指と小指はMP関節が過伸展し,PIP関節・DIP関節が屈曲している.また,環指と小指のしびれの訴えがある.薬物療法と装具療法が開始された.この患者が使用する装具で適切なのはどれか. 
1.短対立装具
2.ナックルベンダー
3.バデイスプリント
4.逆ナックルベンダー
5.コックアップ・スプリント

解答

1.× 短対立装具は正中神経麻痺の適応となる.
2.○ 環指と小指の手内筋萎縮(鷲手)としびれから尺骨神経麻痺が疑われるのでナックルベンダーが適応となる.
3.× バデイスプリントは手指を固定し隣接指による運動補助する装具である.
4.× 逆ナックルベンダーは橈骨神経麻痺(下垂指)に適応となる.
5.× コックアップ・スプリントは橈骨神経麻痺(下垂手)の適応となる.


【5】45歳の女性.右乳癌の診断で,右乳房切除および腋窩リンパ節郭清術を受けた.術後1年経過,右上肢にリンパ浮腫(病期分類Ⅰ期)を生じた.患側の生活指導で正しいのはどれか. 
1.上肢を挙上する.
2.上肢へ負荷をかける.
3.マッサージは強めにする.
4.肩関節の可動域訓練は避ける.
5.50mmHgの上肢スリープを装着する.

解答

1.○ 正しい.
2.× 上肢への負荷は禁忌である.
3.× マッサージは弱めにする.
4.× 拘縮予防のため肩関節の可動域訓練は実施する.
5.× 20~30mmHgの上肢スリープを装着する.


【6】35歳の男性.交通事故により頸髄損傷完全麻痺(第4頸髄節まで機能残存)で回復期リハビリテーション病棟に入院中である.60歳代の父母との同居を見据えて作業療法を実施している.介助量軽減に向けた支援機器・自助具を示す.導入で正しいのはどれか.2つ選べ. 

1.①移動用リフト
2.②ジョイスティック付き電動車椅子
3.③万能カフ
4.④ポータブルスプリングバランサー
5.⑤マウススティック

解答

1.○ 正しい.
2.× ②ジョイスティック付き電動車椅子はC5機能残存レベルで導入する.
3.× ③万能カフはC6機能残存レベルで導入する.
4.× ④ポータブルスプリングバランサーはC5機能残存レベルで導入する.
5.○ 正しい.


【7】次の文により,7,8の問いに答えよ.72歳の男性.脳血管障害による左片麻痺.Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅲ,下肢Ⅴ.回復期リハビリテーション病棟へ転棟した.病室ではベッドから起き上がり,端座位は可能である.車椅子からベッドへの移乗動作は自力でできるが,ベッドから車椅子への移乗動作は触れる程度の最小介助が必要である.この患者の移乗動作のFIMの採点で正しいのはどれか. 
1.7点
2.6点
3.5点
4.4点
5.3点

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ ベッドから車椅子への移乗動作は触れる程度の最小介助が必要なので4点である.
5.× 誤り.


【8】次の文により,7,8の問いに答えよ.72歳の男性.脳血管障害による左片麻痺.Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅲ,下肢Ⅴ.回復期リハビリテーション病棟へ転棟した.病室ではベッドから起き上がり,端座位は可能である.車椅子からベッドへの移乗動作は自力でできるが,ベッドから車椅子への移乗動作は触れる程度の最小介助が必要である.この患者の病棟でのベッドから車椅子への移乗動作自立に向けた指導で適切なのはどれか. 
1.浅く腰掛けさせる.
2.麻痺側下肢を軸に回転する.
3.車椅子はベッドに平行に設置する.
4.足部を膝より前方へ出して立ち上がる.
5.ベッドの高さを車椅子より低くしておく.

解答

1.○ 正しい.
2.× 非麻痺側下肢を軸に回転する.
3.× 車椅子はベッドに斜めに設置する.
4.× 足部を膝より後方へ引いて立ち上がる.
5.× ベッドの高さを車椅子より高くしておく.


【9】68歳の女性.2か月前に頭部打撲歴あり.10日前から歩行障害が出現し徐々に悪化した.病院を受診したところ緊急入院となった.穿頭血腫ドレナージ術後,症状は改善した.頭部CT画像のうち,この患者の術前の頭部CTの画像はどれか. 

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

1.× ①:水頭症の頭部CT画像である.
2.× ②:脳梗塞の頭部CT画像である.
3.× ③:脳出血の頭部CT画像である.
4.○ ④:2か月前に頭部打撲歴あり.10日前から歩行障害が出現し徐々に悪化したことから慢性硬膜下血腫が疑われ,CT画像で右前頭部の低吸収域,右側脳室狭小化,正中変位がみられる.
5.× ⑤:くも膜下出血の頭部CT画像である.


【10】49歳の男性.右利き.左中大脳動脈領域の脳梗塞.回復期リハビリテーション病棟で作業療法が開始された.左上下肢に中等度の運動麻痺がある.BITは通常49/146,行動47/81.車椅子では常に図のような姿勢がみられた.この患者への作業療法で最も適切なのはどれか. 

1.PQRST法
2.間隔伸張法
3.視覚走査法
4.遮断除去法
5.視覚イメージ法

解答

1.× 記憶障害は疑われないのでPQRST法は適切でない.
2.× 記憶障害は疑われないので間隔伸張法は適切でない.
3.○ 正しい.
4.× 失語症は疑われないので遮断除去法は適切でない.
5.× 記憶障害は疑われないので視覚イメージ法は適切でない.


【11】32歳の女性.右利き.運輸会社で10年間事務を担当している.1か月前に脳梗塞を発症したが,運動麻痺は認めないため退院し職場復帰した.与えられた仕事は意欲的に集中して行い,指示されたことを実行することはできていたが,上司からは自分で段取りを考えて行動ができないとの指摘を受けることが多くなった.この患者の高次脳機能障害の検査で優先されるのはどれか. 
1.BADS
2.BIT
3.CAS
4.CAT
5.RBMT

解答

1.○ 指示されたことを実行することはできるが,自分で段取りを考えて行動ができていないことから遂行機能障害が疑われるのでBADSが優先される.
2.× 半側空間無視は疑われないのでBITは優先されない.
3.× 与えられた仕事は意欲的に行っているのでCASは優先されない.
4.× 与えられた仕事は集中して行っているのでCATは優先されない.
5.× 指示されたことを実行できているのでRBMTは優先されない.


【12】72歳の女性.慢性心不全.左室駆出率(LVEF)は35%,NYHA分類はⅢ度.今回,心不全の急性増悪で入院した.経過良好で退院に向けて作業療法が開始された.認知機能の低下を認める.入院前は平屋に独居で生活しており,自宅退院にむけて不安が残る.介護保険の要介護認定は未申請である.退院に向けた作業療法で誤っているのはどれか. 
1.要介護認定の申請を勧める.
2.入浴は半身浴とするよう指導する.
3.心電図モニター下で炊事動作訓練を行う.
4.Borg指数15~18の範囲での活動を指導する.
5.日常生活活動は最高心拍数の50~70%で行う.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× Borg指数11~138の範囲での活動を指導する.
5.○ 正しい.


【13】63歳の男性.アルコール依存症.就職直後より毎晩大量に飲酒していた.40歳代で入院し診断を受けた.以後は定職に就かず,連続飲酒による入退院を繰り返している.最近,気分の変動や失見当識が出現し,羽ばたき振戦も認められるようになった.最も考えられるのはどれか. 
1.肝性脳症
2.進行麻痺
3.正常圧水頭症
4.尿毒症性脳症
5.Cushing症候群

解答

1.○ 羽ばたき振戦がみられているので肝性脳症が考えられる.
2.× 進行麻痺は神経梅毒で人格変化,進行性認知症や四肢麻痺などがみられる.
3.× 正常圧水頭症は歩行障害,認知症や尿失禁がみられる.
4.× 尿毒症性脳症は意識障害,認知機能低下,幻覚やけいれんなどがみられる.
5.× Cushing症候群はコルチゾールの過剰分泌で満月様顔貌,中心性肥満,高血糖や骨粗鬆症などがみられる.


【14】次の文により,14,15の問いに答えよ.34歳の女性.中学教諭.既婚で4歳と6歳の子どもがいる.半年前に学年主任になった頃から不眠が続き,欠勤が多くなった.3か月前から食欲不振,焦燥感および不安感が出現し,「死にたい」と訴えたため精神科を受診した.診察の結果,休職して入院治療を受けることになった.入院後,食欲は改善し,焦燥感と不安の訴えは少なくなったが,意欲低下の状態が続き,対人交流が苦痛であると訴えた.入院3週目に意欲の向上を目的に作業療法が開始された.作業療法開始時に予想される症状はどれか. 
1.感情鈍麻
2.強迫観念
3.思考制止
4.滅裂思考
5.両価性

解答

1.× 感情鈍麻は統合失調症でみられる.
2.× 強迫観念は強迫性障害でみられる.
3.○ 正しい.
4.× 滅裂思考は統合失調症でみられる.
5.× 両価性は統合失調症などでみられる.


【15】次の文により,14,15の問いに答えよ.34歳の女性.中学教諭.既婚で4歳と6歳の子どもがいる.半年前に学年主任になった頃から不眠が続き,欠勤が多くなった.3か月前から食欲不振,焦燥感および不安感が出現し,「死にたい」と訴えたため精神科を受診した.診察の結果,休職して入院治療を受けることになった.入院後,食欲は改善し,焦燥感と不安の訴えは少なくなったが,意欲低下の状態が続き,対人交流が苦痛であると訴えた.入院3週目に意欲の向上を目的に作業療法が開始された.作業療法開始から5週後,安定して作業療法に参加し意欲的に活動に取り組むようになったため,家庭復帰と職場復帰が検討された.しかし,本人は家事や育児などの日常生活に対する不安を訴えている.この時点での作業療法士の対応で適切でないのはどれか. 
1.職場復帰に向けたOJTを評価する.
2.小グループでの家事訓練を計画する.
3.退院後の生活スケジュールを検討する.
4.退院後の外来作業療法での支援を検討する.
5.退院前訪問指導による生活場面での把握を行う.

解答

1.× 家事や育児などの日常生活に対する不安を訴えている段階なので職場復帰に向けたOJTの評価はまだ早い.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【16】30歳の男性.会社員.中学校の頃より人前で話すときに緊張が強くなり,人と会うのを避けるようになった.大学卒業後に就職し,顧客との交流が多い部署に配置となった.プレゼンテーションの際には動悸,発汗および腹痛が出現し,うまく行えなかった.仕事の業績も落ち込んだため精神科を受診した.最も考えらえれるのはどれか. 
1.持続性抑うつ症(気分変調症)
2.社交不安症(社会不安障害)
3.身体症状症
4.全般不安症(全般性不安障害)
5.パニック症(パニック障害)

解答

1.× 誤り.
2.○ 人前でのプレゼンテーションの際に動悸,発汗および腹痛が出現しているので社交不安症(社会不安障害)が考えられる.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【17】11歳の女児.不登校を心配した母親に連れられて来院した.幼少期に人見知りはせず,抱っこをせがむこともなかった.保育園では一人遊びが多かった.現在の成績は上位.運動は苦手だがサッカー観戦は好きで,地元チームの選手の背番号と生年月日を全て記憶している.冗談が通じずクラスで仲間外れになることがある.この児の障害で正しいのはどれか. 
1.偏食はまれである.
2.感覚過敏を伴うことがある.
3.他人の感情の変化を敏感に察知する.
4.日常習慣の変更の受け入れが良好である.
5.4~5歳で「サリーとアン課題」に正解することが多い.

解答

1.× 広汎性発達障害が疑われるので,偏食がみられる.
2.○ 正しい.
3.× 広汎性発達障害が疑われるので,他人の感情の変化の察知は難しい.
4.× 広汎性発達障害が疑われるので,日常習慣の変更の受け入れが不良である.
5.× 広汎性発達障害が疑われるので,4~5歳で「サリーとアン課題」に正解することは難しい.


【18】50歳の男性.1年前より物忘れのために仕事で失敗が認められるようになった.また,通勤中道に迷うようになったため,3か月前に退職.精神科病院でAlzheimer型認知症の診断を受け,精神科作業療法に通うこととなった.この患者の症状を評価する尺度で最も適切なのはどれか. 
1.NPI
2.PANSS
3.RAS
4.SANS
5.SMSF

解答

1.○ 正しい.
2.× PANSSは統合失調症の陽性・陰性症状評価尺度である.
3.× RASは精神疾患を対象としたリカバリー評価尺度である.
4.× SANSは統合失調症の陰性症状評価尺度である.
5.× SMSFは統合失調症の気分と疲労のチェックリストである.


【19】33歳の女性.統合失調症.半年ほど前から「誰かに見張られている」と言い,近隣でのトラブルが続いて再入院となった.入院後,生活リズムの改善を目的に本人が希望した手工芸の活動が開始された.作業療法開始3週で安定して活動に参加できるようになったが,依然として意欲低下があり,活動中に「見張られていて不安だから作業療法をやめたい」と申し出た.この時の作業療法士の対応で最も適切なのはどれか. 
1.作業種目を変更する.
2.妄想の内容を詳細に聞き出す.
3.作業療法の参加を直ちに中止する.
4.手工芸を継続できるような声かけを行う.
5.「見張られている」という事実がないことを説明する.

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 意欲低下があるので手工芸を継続できるような声かけを行う.
5.× 誤り.


【20】37歳の女性.統合失調症.20年間の入退院を繰り返した後,グループホームに入居し,精神科デイケアを利用して生活する方針となった.担当作業療法士は,本人の関心,才能,性格および環境について日常生活を含めた7つの領域に分けて本人と確認し,本人の言葉で退院後の目標を記載した.本アセスメントの根拠となるのはどれか. 
1.CMOP
2.IPSモデル
3.人間作業モデル
4.ストレングスモデル
5.Empowerment approach

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 本人の関心,才能,性格および環境について着目し在宅生活につなげる取組みは,ストレングスモデルである.
5.× 誤り.


【21】診療報酬の疾患別リハビリテーションで正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.診療報酬は3年に1度改定される.
2.疾患別リハビリテーション料は療法士のみが算定できる.
3.疾患別リハビリテーション料は15分を1単位で算定する.
4.リハビリテーション実施記録には実施時刻を正確に記載する.
5.疾患別リハビリテーション料には算定日数の上限が定められている.

解答

1.× 診療報酬は2年に1度改定される.
2.× 疾患別リハビリテーション料は療法士以外も算定できる.
3.× 疾患別リハビリテーション料は20分を1単位で算定する.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【22】ICFの構成要素である「活動と参加」に分類されるのはどれか.2つ選べ. 
1.意思決定
2.睡眠の質
3.社会的態度
4.複雑な計算
5.基本的な対人関係

解答

1.○ 正しい.
2.× 睡眠の質は「心身機能」に分類される.
3.× 社会的態度は「環境因子」に分類される.
4.× 複雑な計算は「心身機能」に分類される.
5.○ 正しい.


【23】推測統計量に含まれるのはどれか. 
1.期待値
2.最大値
3.中央値
4.平均値
5.標準偏差

解答

1.○ 正しい.
2.× 最大値は記述統計量に含まれる.
3.× 中央値は記述統計量に含まれる.
4.× 平均値は記述統計量に含まれる.
5.× 標準偏差は記述統計量に含まれる.


【24】エビデンスレベルが最も高いのはどれか. 
1.横断研究
2.コホート研究
3.メタアナリシス
4.無作為化比較試験
5.ケースコントロール研究

解答

1.× 横断研究のエビデンスレベルは4である.
2.× コホート研究のエビデンスレベルは2である.
3.○ メタアナリシスのエビデンスレベルは1aである.
4.× 無作為化比較試験のエビデンスレベルは1bである.
5.× ケースコントロール研究のエビデンスレベルは3である.


【25】二次予防はどれか. 
1.高齢者の骨折予防指導
2.健康高齢者への運動指導
3.糖尿病患者への食事指導
4.リウマチ患者への生活指導
5.インフルエンザワクチン接種

解答

1.× 高齢者の骨折予防指導は一次予防である.
2.× 健康高齢者への運動指導は一次予防である.
3.○ 正しい.
4.× リウマチ患者への生活指導は三次予防である.
5.× インフルエンザワクチン接種は一次予防である.


【26】災害時の作業療法士の対応で優先度が低いのはどれか. 
1.感染予防対策
2.避難所の状況把握
3.生活不活発病の予防
4.避難先での動線の整備
5.避難者個々への筋力増強訓練

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 避難者への筋力低下や関節拘縮予防の運動指導を行う.


【27】介護保険法の第二号被保険者で要介護認定の対象となる疾患はどれか. 
1.脳性麻痺
2.Parkinson病
3.外傷性頸髄損傷
4.ポストポリオ症候群
5.Guillain-Barré症候群

解答

1.× 誤り.
2.○ 正しい.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【28】Danielsらの徒手筋力テスト(段階2)の検査と検査肢位の組合せで正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.肩甲骨挙上 ――― 腹臥位
2.肩屈曲 ――― 座位
3.肘伸展 ――― 側臥位
4.股外転 ――― 背臥位
5.膝伸展 ――― 腹臥位

解答

1.○ 正しい.
2.× 肩屈曲 ――― 側臥位
3.× 肘伸展 ――― 座位
4.○ 正しい.
5.× 膝伸展 ――― 側臥位


【29】検査と下位項目の組合せで正しいのはどれか. 
1.WPPSI ――― 集団参加
2.新版K式発達検査 ――― 処理速度
3.田中・ビネー知能検査 ――― ワーキングメモリー
4.S-M社会生活能力検査 ――― 自己統制
5.日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査 ――― 社会性

解答

1.× WPPSI ――― 処理速度
2.× 新版K式発達検査 ――― 社会性
3.× 田中・ビネー知能検査 ――― 知能指数
4.○ 正しい.
5.× 日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査 ――― 感覚運動・認知・複合


【30】成人健常者の背臥位姿勢で体圧が最も小さい部位はどれか. 
1.後頭骨
2.肩甲骨
3.第3腰椎
4.仙骨
5.踵骨

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 腰椎前弯しているため第3腰椎は背臥位で体圧が小さい部位である.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【31】Parkinson病患者(Yahrの重症度分類ステージⅢ)のADL指導で最も適切なのはどれか. 
1.屋内はスリッパを履く.
2.毛足の長いカーペットを敷く.
3.髭剃りはカミソリを利用する.
4.スロープよりも階段を利用する.
5.屋外ではロフストランド杖を利用する.

解答

1.× 屋内はスリッパを履くのは危険である.
2.× 毛足の短いカーペットを敷く.
3.× 髭剃りは電気シェーバーを利用する.
4.○ 正しい.
5.× 屋外ではL字杖を利用する.


【32】金銭管理が含まれている評価法はどれか.2つ選べ. 
1.FAI
2.SF-36
3.老研式活動能力指標
4.興味・関心チェックリスト
5.介護予防事業の基本チェックリスト

解答

1.× FAIの評価項目は,食事の用意,食事の後片づけ,洗濯,掃除や整頓,力仕事,買い物,外出,屋外歩行,趣味,交通手段の利用,旅行,庭仕事,家や車の手入れ,読書,仕事の15項目である.
2.× SF-36は包括的QOL評価なので金銭管理は含まれていない.
3.○ 正しい.
4.× 興味・関心チェックリストは興味の強さを評価するので金銭管理は含まれていない.
5.○ 正しい.


【33】前腕能動義手を図に示す.名称で正しいのはどれか. 

1.ハンガー
2.クロス・バー
3.ベース・プレート
4.ハーネス
5.リテーナー

解答

1.× ハーネス
2.× リテーナー
3.○ 正しい.
4.× ケーブルハウジング
5.× クロス・バー


【34】脊髄小脳変性症と比較した多発性硬化症の特徴はどれか. 
1.痙縮
2.運動失調
3.嚥下障害
4.構音障害
5.有痛性強直性けいれん

解答

1.× 痙縮は脊髄小脳変性症と多発性硬化症のいずれにもみられる症状である.
2.× 運動失調は脊髄小脳変性症と多発性硬化症のいずれにもみられる症状である.
3.× 嚥下障害は脊髄小脳変性症と多発性硬化症のいずれにもみられる症状である.
4.× 構音障害は脊髄小脳変性症と多発性硬化症のいずれにもみられる症状である.
5.○ 正しい.


【35】ASIA機能障害尺度[ASIA Impairment Scale(AIS)]で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.握力を測定する.
2.触覚を評価する.
3.関節可動域を測定する.
4.運動は6段階で評価する.
5.第4頸髄節の運動を評価する.

解答

1.× AISで握力の測定はない.
2.○ 正しい.
3.× AISで関節可動域の測定はない.
4.○ 正しい.
5.× AISの運動評価は第5頸髄節から第1胸髄節と第2腰髄節から第1仙髄節である.


【36】慢性心不全患者の在宅生活指導で適切なのはどれか. 
1.安静臥床を指示する.
2.しゃがんで床を拭くように勧める.
3.息切れ時には背臥位をとるように促す.
4.下腿浮腫の出現に注意をするように促す.
5.息をこらえて荷物を持ち上げるように指示する.

解答

1.× 無理のない範囲で活動を指示する.
2.× 立位で床を拭くように勧める.
3.× 息切れ時には起座位をとるように促す.
4.○ 正しい.
5.× 息を吐きながら荷物を持ち上げるように指示する.


【37】血液透析で正しいのはどれか. 
1.カルシウム摂取を禁止する.
2.透析中の運動は禁忌である.
3.シャント側上肢で血圧測定する.
4.エリスロポエチン産生は亢進する.
5.導入原因の第1位は糖尿病性腎症である.

解答

1.× カリウム摂取を制限する.
2.× 透析中の軽運動は実施可能である.
3.× 非シャント側上肢で血圧測定する.
4.× エリスロポエチン産生は低下する.
5.○ 正しい.


【38】脳卒中治療ガイドライン2021のリハビリテーションで推奨グレードが最も高いのはどれか. 
1.運動障害に対する薬物療法
2.半側空間無視に対する鏡像を用いた訓練
3.中枢性疼痛に対する反復性経頭蓋磁気刺激
4.摂食嚥下障害に対するバルーンカテーテル訓練
5.軽度から中等度の上肢麻痺に対する麻痺側上肢を強制使用させる訓練

解答

1.× 脳卒中治療ガイドライン2021において運動障害に対する薬物療法の推奨グレードはCである.
2.× 脳卒中治療ガイドライン2021において半側空間無視に対する鏡像を用いた訓練の推奨グレードはCである.
3.× 脳卒中治療ガイドライン2021において中枢性疼痛に対する反復性経頭蓋磁気刺激の推奨グレードはCである.
4.× 脳卒中治療ガイドライン2021において摂食嚥下障害に対するバルーンカテーテル訓練の推奨グレードはCである.
5.○ 脳卒中治療ガイドライン2021において軽度から中等度の上肢麻痺に対する麻痺側上肢を強制使用させる訓練の推奨グレードはAである.


【39】精神科の集団作業療法で適切なのはどれか. 
1.オープングループは固定のメンバーで活動を行う.
2.クローズドグループは集団からの離脱が起こりやすい.
3.治療者1名に対して15名程度のメンバーで活動を行う.
4.異質集団は同質集団よりも参加者同士の共感が得られる.
5.集団の凝集性よりもメンバー個人の主観的体験を優先する.

解答

1.× クローズドグループは固定のメンバーで活動を行う.
2.× オープングループは集団からの離脱が起こりやすい.
3.× 治療者2名に対して15名程度のメンバーで活動を行う.
4.× 同質集団は異質集団よりも参加者同士の共感が得られる.
5.○ 正しい.


【40】精神科作業療法のインテーク面接時に聞き取る内容で適切でないのはどれか. 
1.趣味
2.将来の希望
3.発病時の状況
4.困っていること
5.作業療法でやりたいこと種目

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× インテーク面接では発病前後の状況について聞き取らない.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【41】朝6時に朝食をとり,8時に家を出て同じコースを歩き回り,10時にスーパーで同じ食材を購入して帰宅する行動を毎日繰り返す認知症患者で,最も考えられるのはどれか. 
1.HIV認知症
2.血管性認知症
3.前頭側頭型認知症
4.Lewy小体型認知症
5.Alzheimer型認知症

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 常同行動がみられているので前頭側頭型認知症が考えられる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【42】小児の知能検査で用いられるのはどれか. 
1.MMPI
2.MMSE
3.POMS
4.WAIS
5.WISC

解答

1.× MMPIは人格検査である.
2.× MMSEは認知症を含めた高次脳機能障害のスクリーニング検査である.
3.× POMSは気分プロフィール検査である.
4.× WAISは成人知能検査である.
5.○ 正しい.


【43】注意欠如・多動症(注意欠如・多動性障害)児に認められる作業療法中の行動はどれか. 
1.頻回に離席する.
2.発作を起こして倒れる.
3.誇大的な発言が認められる.
4.作業工程を何回も確認する.
5.相手の言葉をオウム返しする.

解答

1.○ 正しい.
2.× 発作を起こして倒れるのはてんかん発作である.
3.× 誇大的な発言が認められるのは躁病や統合失調症である.
4.× 作業工程を何回も確認するのは強迫性障害である.
5.× 相手の言葉をオウム返しするのは知的障害や自閉スペクトラム症である.


【44】アルコール依存症の治療で適切でないのはどれか. 
1.集団療法
2.動機づけ面積
3.認知行動療法
4.リアリティオリエンテーション
5.CRAFT(Community Reinforcement and Family Training)

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× リアリティオリエンテーションは認知症の治療法である.
5.○ 正しい.


【45】境界性パーソナリティ障害の患者に対する作業療法士の対応で適切なのはどれか. 
1.作業による衝動の発散を行う.
2.作業療法の頻度は希望により変更する.
3.治療関係で生じる陽性転移を利用する.
4.人の入れ替わりが多い集団を利用する.
5.作業療法士への依存を通して関係を築く.

解答

1.○ 正しい.
2.× 作業療法は希望を聴取し適切な頻度で行う.
3.× 治療関係で生じる陽性転移は利用しない.
4.× 人の入れ替わりの少ない集団を利用する.
5.× 作業療法士と一定の距離を保って関係を築く.


【46】うつ病患者のリワークの説明で適切なのはどれか. 
1.うつ病の治療初期よりリワークへの導入を行う.
2.医療機関のリワークでは積極的な訪問支援を行う.
3.対人技能の向上を目的に集団プログラムを実施する.
4.ストレスチェックで高いストレス者になったものを対象とする.
5.障害者職業センターのリワークでは病状の回復を目的としている.

解答

1.× うつ病の症状が安定し安全に通所可能となってからリワークの導入を行う.
2.× 医療機関のリワークでは通所支援を行う.
3.○ 正しい.
4.× ストレスチェックでストレスの高くない者を対象とする.
5.× 病状の回復を目的としているのは医療機関でのリワークである.


【47】統合失調症の行動特性に合わせた作業療法士の対応で正しいのはどれか. 
1.緊張を高める.
2.まとめて指示する.
3.作業環境を一定にする.
4.状況に応じて判断させる.
5.指示の前後に無関係な話をする.

解答

1.× 緊張を解く.
2.× 一つひとつ指示する.
3.○ 正しい.
4.× 決まった段取りの下で判断させる.
5.× 指示した課題に集中させる.


【48】BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)はどれか.2つ選べ. 
1.失認
2.徘徊
3.記憶障害
4.不潔行為
5.実行機能障害

解答

1.× 失認は認知症の中核症状である.
2.○ 正しい.
3.× 記憶障害は認知症の中核症状である.
4.○ 正しい.
5.× 実行機能障害は認知症の中核症状である.


【49】心神喪失者等医療観察法で対象者の処遇を決める機関はどれか. 
1.検察庁
2.指定入院医療機関
3.精神保健福祉センター
4.地方裁判所
5.保護観察所

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 地方裁判所で対象者の処遇の要否と内容の決定が行われる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【50】1,000人の高齢者に質問紙を用いたうつ病のスクリーニングを実施したところ,以下のような結果が得られた.この検査法の感度はどれか.ただし,小数点以下の数値が得られた場合には,小数点以下第1位を四捨五入すること. 

1.20%
2.25%
3.75%
4.80%
5.98%

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 感度=16/20*100=80%
5.× 誤り.


 | 【OT国試過去問】 | 午前51~100